畳普及国産の畳表の場合、最高級品となると1枚につき数万円の価格がつくこともあり、一般の方にはなかなか手が届きにくいです。といっても、実際のところそこまでグレードの高い畳表を求めている方は少なく、ある程度耐久性があれば生活するうえで特に問題になることはありません。では、国産表の中でも普及品として人気の高いブランドはなんでしょうか?

国産表の中でも圧倒的な流通量を誇るのは、熊本産の「肥後表」です。熊本県では500年以上培ってきた畳作りのノウハウを駆使して普及品から最高級品まで豊富な種類を揃えていますが、特徴的なのは着色料を一切使用しないという品質へのこだわりです。普及品の場合、見た目をよくするため着色料や添加物を織り込みながら生産するケースもありますが、自然な風合いと安全性にこだわる仕組みをいち早く導入した肥後表は、消費者からの信頼が厚く、畳表についてあまり知らない方でも安心して購入することができます。

また、佐賀県の「佐賀表」も400年以上の歴史を持つ畳表の生産地であり、特に佐賀県の白石地区で栽培されたものは「しろくち」と呼ばれ、品質の良さで知られていました。普及品は主に工事関係に利用されていましたが、近年では全国2位の生産地である福岡県の畳表の原料として移出されることが多くなりました。福岡県もまた「筑後表」と呼ばれる良質なブランドで知られており、肥後表と同様に高級品から普及品までカバーできる幅広い品種を揃えています。福岡県のい草は太くて柔らかく均一性が高いという特徴があり、経年変化に強いことから一般的にも広く親しまれています。

このようにブランド化された産地では伝統的手法を守って生産されており、品質証明もしっかりしているため、安心して購入できるというメリットがあります。普及品の国産畳表の価格は、概ね4,000円~9,000円程度であり、裏返しても使用できます。ただし、裏返しの時期を誤ると裏返しての使用ができなくなるケースもあるので注意が必要です。