畳の香り新調した畳を下ろすと、鼻の奥まで染み込むような独特の香りがします。清々しい香りですが、ただの森林の香りというわけではなく、香水でも「森林の香り」とは別に「畳の香り」をアロマテラピーとして製品化している会社もあります。では、畳の香りとは具体的にどんな芳香成分によって構成されているのでしょうか?

畳の香りというのは、主成分である天然い草の香りです。着色料など添加物を使用していない場合、い草の香りは主にフィトンチッド、ジヒドロアクチニジオリド、α-シペロン、バニリンなどが含まれています。フィトンチッドという成分は、アロマテラピーの代表的な芳香成分としても知られており、いわゆる「森林の香り」です。フィトンチッドはい草の芳香成分の2割を占めており、強力な消臭・脱臭効果、殺菌効果、ストレスホルモンの減少、ガンを防ぐNK細胞の活性化など、様々な効果があります。そのため、畳を敷くことは森林浴で得られる効果の一部を常に体感できるということであり、健康志向の方には大変おすすめです。

次に多いジヒドロアクチニジオリドは、紅茶や緑茶に含まれている芳香成分であり、それ自体は香りを持たず他の香りを引き立てる作用があります。そしてα-シペロンは、鎮静作用で不眠症に効果を発揮する成分であり、バニリンは文字通りバニラの香りの成分です。新調した畳の独特の香りというのは、このバニリンの香りによるところが大きく、天然い草そのものよりも、泥染めをした畳表の中に多く含まれている成分です。そのため、着色料で染めた低品質の畳と染土使用の畳では香りが大きく異なります。しかし、バニリンの香りは時間とともに減少していくため新しい畳の香りは長く続かないということになります。バニリンにも、他の香りと同じように鎮静作用があり、ストレス軽減に効果があります。このように、畳表にはリラックス効果を高める成分が豊富に含まれており、畳の香りを嗅ぐだけで神経を休ませ、癒しを感じることができます。