畳作りの織り方は、大きく分けて手縫いと機械織りがあります。最高級畳はすべて一枚一枚手縫いで作られており、非常に手間と時間がかかっています。手縫いによる畳と機械織りによる畳の仕上がりを比較してみると、同じ素材を使用しても手縫いの方が強く締め上げながら織り上げることができるので、きめ細かくハリのある仕上がりになります。また、手作業であれば良質ない草の中に紛れ込んだ変色い草を見つけることもできますし、見た目を確認しながら作業を進めることができます。
もっとも、昔はすべて手縫いで作っていたため、手縫いは畳作りの基本といえますが、現代では手縫いの基本を知らない畳屋さんが機械織りを行っているケースも少なくありません。畳屋さんというと、畳についてなんでも知っているように思われるかもしれませんが、実際は人によって畳に関する知識に差があり、そのような知識の差が仕上がりに影響することもあります。機械によってあまり知識のない方でも畳を作ることが可能となった現代では、安易に畳屋さんを信じて購入することはできず、信頼できる畳屋さん選びから始めなくてはなりません。
また、機械縫いの場合、畳床に使用されるのは建材ボード床であり、品質の安定しない稲わらを使用するケースはほとんどないため、昔ながらの稲わらの畳を使用したいと思ったら、必然的に手縫いの伝統工芸品を選ぶこととなります。また、伝統工芸品に指定される条件としても、昔ながらの素材を使用していることと手縫いであることが基本的条件となります。たとえば、京都府指定伝統工芸品である「京たたみ」の場合も、板を入れたあとの工程はすべて手で行うことが求められており、一枚を仕上げるために多くの時間を必要とします。そのため価格も高くなりますが、見た目の美しさや質感、復元性、機能性など、多くの面で機械織りでは味わえない良さがあります。しかし、近年は後継者不足によって伝統技術が失われることも少なくなく、希少性も高まっています。
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