畳とサッシの意外な関係
サッシの普及により気密性が高くなったのが問題の始まり
日本の住宅事情が欧米化して久しくなりました。じゅうたんやフローリングの部屋に人気があり、畳を使う和室をメインにする和風住宅はあまり見かけなくなりました。なぜ、畳の部屋が少なくなっているのでしょう。生活の洋風化だけが原因なのでしょうか。少し古い話になりますが、かつて昭和40年代に多く建てられた公団住宅、いわゆる団地で、畳を発生源とするダニが大量に発生して問題になりました。サッシの利用で機密性が高まり、天日干しも事実上無理な住宅構造なのが原因だったようです。
ニュースなどでも取り上げられたほど大きな被害だったそうなので、年配の方のなかには覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。ワラ床を芯にする従来の畳がダニの繁殖を大きくしたようですが、このころ団地等で使われていた畳の多くは大量に輸入された安い畳だったようです。外国で作られたものだったため、日本の高温多湿にうまくなじめず、ダニが大量発生してしまったようです。
「畳・イコール・ダニの発生」というイメージの払拭のためにも、こうしたダニやダニのえさとなるカビの発生問題を解決するために、現在ではさまざまな研究開発がなされています。発泡スチロールや薬剤を使用した防虫シートなど、いろいろな素材が畳に使われるようになり、ダニの発生を防止できる畳もあります。適切に畳を選べば、畳自体に悪影響を与え、またアレルゲンの原因ともなるダニやカビの発生を最初から抑えることも可能なのです。こうした対策で、現在ではダニの出る部屋が少なくなってきたと言われますが、それでも最近の住宅は「高断熱高気密」で、夏冬問わず多湿になりやすい構造になっています。
ダニやカビの繁殖しやすい環境であることには変わりありません。予防や対策をとるのを怠れば、畳の質も悪くなってしまい、張り替えなどを頻繁にしなければならなくなります。お手入れや対策をとっていれば必要のなかった張り替えなど、無駄な出費を節約するためにも、畳の大敵である湿気、そしてダニやカビ、これらを上手に予防・対策をするのが大切です。まずは、晴れた日に窓を開けて、風を通しましょう。