畳は日本人の知恵
畳の空間にホッとする!日本人のDNAです。
古民家を移築して再利用したり、古い長屋にわざわざ住む若者たちなど、昔ながらの日本家屋が注目されていますが、昔と比べると、今の住宅環境はだいぶ変わってきています。どの住宅メーカーも「高気密」「高断熱」など、より快適に暮らせるようなさまざまな機能をうたっていますし、フローリングの増加にともなう和室の減少など、暮らしの西洋化が顕著に反映されています。
しかし、どんなに欧米にならった住宅を選ぼうと、和室や畳コーナーを必要とする方は多いのではないのでしょうか。畳の空間にホッとするのは、私たち日本人の「DNA」なのかもしれません。暮らしの洋式化がすすんでも、私たちの暮らしにやはり欠かせない畳ですが、だからこそお金をかけずにいつまでもキレイに快適に使いたいものです。新しい畳を入れたらそれでおしまい・・・ではなく、畳の張り替えなど適切におこなっていくことで、グンと寿命も延び気持ちよく使い続けることができます。
畳は日本固有の敷きものです。木造建築で建てられる日本家屋は、窓や障子、襖を開け放して風の通りを重要視するなど、元来、夏の暑さを基本にして作られています。ですから、湿度の調節機能をもつ畳は夏の高温多湿に合った敷きものと言え、木造の家と畳の床は、とても理にかなった組み合わせなのです。思えば、日本家屋は、主な材料は木材、紙、土など自然にあるもの、その土地や風土にあるものを利用して作られてきました。畳もそうです。そして古くなったから、壊れたからと言って、簡単に捨ててしまうのではなく、使えるものは残して修理や保全をすることで、何十年、何百年と住んできたのです。
夏は窓や襖を開け放し、すだれを使い、打ち水などをして、涼をとり、冬はいろりや火鉢を使っても通気性があるため一酸化炭素中毒などにはなりませんでした。昔の人の知恵はさすがだと思いませんか。高機能住宅で季節感がうすれているような現代において、「エコだ、エコだ」と大騒ぎをしている現代人が学ぶべきは、まさに私たちのご先祖さまの智恵なのではないでしょうか。そして、そんな昔の人の智恵を体現しているような畳は、やはりなくしてはいけない日本の文化なのだと思うのです。