畳は「たたむ」ことを意味
先ずは、畳の語源からお話させてください。
“畳は「たたむ」ことを意味し、折り返して重ねる意味でもあって、たためるもの、重ねられるものから、敷物のすべてを意味したものでもあり、これらが畳の起こりである。”
< 物語ものの建築史「畳のはなし」佐藤理 著 鹿島出版会 >
こちらを参考にすると、畳の語源は表意的な総称であって、特別なものを指し示すものではなかったことが分ります。少なくとも、現在のい草から作りこまれた床材としての「畳」だけを指し示したものではないようです。
また、現在のような畳は、当初は権力者の寝台として使われていたようです。要するに寝床として活用されていました。これは平安時代のお話です。時々、歴史ものの映画などで板の間の中央に、蚊帳のようなものが吊り下げられ、その中に厚手の畳が敷かれているシーンがあります。恐らく、このように権力の象徴として偉い人の寝床として使われていたようです。一説によれば、畳の縁柄に関しても、その位によって厳しく管理されていたようです。
平安時代の寝殿造りに関しては、その殆どが板間で、まだまだ畳は特別な存在であったようです。そして、時は過ぎ、室町時代の書院造になると、各部屋に畳が敷き詰められていったようです。その後の江戸時代にかけては、茶道、茶室の登場により、さらに庶民のも普及し、現在に至っています。庶民への普及に伴い、その需要が急上昇しました。畳職人と呼ばれる人々も、江戸時代になってから多くなって来たようです。ただし、農村部への畳の普及に関しては、江戸時代末期以降となったようです。
何れにせよ、畳が一般家庭にまで普及し始めたのは、それほど以前のお話ではないようです。そう言った意味では、歴史的に古そうに思われますが、実はまだまだ、一般家庭での発展は途上なのかもしれません。